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少しタガのはずれた絵日記


by oka002
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年度初めの映画鑑賞はこの1本『パフューム』

日曜とは言いながらも新年度がスタートしましたね。
新1年生に倣って新しい分野のお勉強でも始めてみましょうか、という気分になる可能性もありげな人もいるかもしれませんね。←自分はその1人ではないことが明白な口調

これとは比較にもなりませんが、前から必ず見るぞと言いつつこれまで先延ばしにされてきた映画、『パフューム』をやっと今日見てきました。早く行かないと本当に上映期間が終了してしまうとかなり焦っていましたから、とりあえず鑑賞できて安心しているところです。
しかも私、チケットを買う段まで気付かなかったんですが、今日は1日で「映画の日」でしたので、なんと幸運にも1,000円でこの作品を見てしまいました。
『パフューム―ある人殺しの物語―』というタイトルからして、見終わった後幸せな気分になれるタイプの作品ではないと覚悟はしていたものの、いざ劇場に着くと私の前の回に見た人たちが軒並みしかめっ面(・"・)で出てくるので、「これは相当不可解な、救いのないお話なのでは」とかなり不安になったのですが…。




終わってみれば全くその通りで、主人公のグルヌイユではないが、何と言ったらよいのやら通常の言葉では表現できません。頭が痛くなってしまいました。(どんなに楽しい映画を見ても私は大概頭痛を起こすのですが)
終始無表情な主人公の影響か顔が強張る強張る。場内が暗いのを幸い、エンドクレジットが流れる間中フェイストレーニングをしていましたよ。

そうは言ってもこの映画、決して駄作ではなくむしろ非常によくできていると思いました。
アラン・リックマンさんは期待を裏切らず、娘一筋のよき父親を好演していましたし、グルヌイユの師匠、調香師のバルディーニに扮したダスティン・ホフマンさんも、可笑しみの中にも物悲しさを漂わせていい雰囲気を出していました。
しかしなんといっても主役のベン・ウィショーさん。匂いへの執着以外ほとんど感情を持たないかのように抑制された演技には凄みがあります。美しい少女の香りを抽出するために平然と殺人を重ねるという特殊な役柄だけに、インパクトも強烈。
オーケストラが奏でる荘厳なBGMが凄惨なシーンをいっそう引き立てています。
本作品のテーマである「匂い」は目に見えませんが、いろいろな映像の助けである程度想像できるよう工夫されています。そのおかげで当時のパリの雑多な雰囲気も味わえる仕組みです。
華やかで美しいイメージしかなかったロココ時代のフランスも、その大部分は汚れて醜く悪臭を放っていたということ、当時の労働者がほとんど人間扱いされていなかったことなども皮肉交じりに描かれています。

やりきれない結末で気も滅入り、帰りの電車に乗る前カフェでトマトジュースを飲みました。
添えつけのレモンスライスをかじり、爽やかな風味にようやく人心地がついた感じ。
我が家へ急ぐ道も菜の花、スモモの花、沈丁花といつしか爛漫の花の香りがあふれていました。「究極の香水」と言っても結局のところ、自然の香りを模写するだけなのでは?と、香水嫌いの私は考えながら帰宅したのでした。
by oka002 | 2007-04-01 21:44 | 世界は舞台 人生は花道