少しタガのはずれた絵日記


by oka002
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『ポルトガルの海』

以前にもご紹介した、またNHKのTV番組「探検ロマン世界遺産―シントラの文化的景観―」でも名前の出ていたポルトガルの詩人、フェルナンド・ペソア(1888-1935)。
ポル愛を標榜するものとしてはやはり一度は読んでおきたいな―と思い、広島市立図書館で借り出しました。
「探検ロマン―」でも登場したこちらの(↓)本です。
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ポルトガルの海 フェルナンド・ペソア詩選
池上岑夫 編訳 彩流社



このペソアという人なかなかのアイデアマンだったと見えて、本名の他にいくつかの「異名者(heterônimos)」と呼ばれる名前を持ち、それぞれに違った人格とバックグラウンドを設定した上におのおの違う作風で詩を書いていたそうです。次の3人がその代表格。

自然詩人のアルベルト・カエイロ(Alberto Caeiro)
異教的で古典的な作風のリカルド・レイス(Ricardo Reis)
前衛的で大胆なアルヴァロ・デ・カンポス(Álvaro de Campos )

本書にはこの3人に加え、勿論ペソア本人による詩も収録されています。
異名者の1人、リカルド・レイスのから、短い詩を1編ご紹介しましょう。



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僕らの秋が

僕らの秋が リュディアよ 冬をそのなかに
ひそませてやって来たら
思いを凝らそう 来年の春ではなく
春は僕らのものではない
夏でもなく その頃僕らは死んでいる
過ぎ行くもののあとに残るものに―
葉のそれぞれが生きている そして
そのそれぞれを異なる葉としている黄色い眼の前の色に

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久しぶりでこんな格調高い文学作品を目にしますと、原文に当たりたくなるのが相場かと思います。たとえ読めずとも←待テ\(-_-;)。
探してみたらありましたよ、ポル語で出ているサイトが。あな有難や。

Jornal de Poesia

ここはどうやらブラジルの方が運営しているらしく、ポルトガル語圏の詩人が数多く紹介されています。
悲しいかな、ほとんど全てが見たことも聞いたこともない名前ですけど。
気を取り直して、先の日本語訳に相当する詩を見てみるとしましょう。
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Quando, Lídia

Quando, Lídia, vier o nosso outono
Com o inverno que há nele, reservemos
Um pensamento, não para a futura
Primavera, que é de outrem,
Nem para o estio, de quem somos mortos,
Senão para o que fica do que passa
O amarelo atual que as folhas vivem
E as torna diferentes

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いやぁ、やはりいいですね。何といいますか、原語の音やリズムからアロマが漂ってくるようです。

本書を通読して感じた言葉は「虚無」「諦観」など…。
世界に対する静かな諦めの心境が抒情的な言葉で綴られています。
個人的には正直言って嫌いではない…むしろかなり私好みです。
溜息にも似た霧に霞むリスボンの街が脳裏に浮かびました。
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by oka002 | 2007-11-27 22:19 | 書物の歓び | Trackback | Comments(0)